男らしさとジャニーズ(前編)
お~~い!!フェミニスト兼アイドルヲタクの皆~~!!息してるか~~!!!
俺は自分の業(カルマ)に向き合いながら、この沼でなんとか生きてるぞ~~!!!!
アイドルとフェミニズムに触れ始めてから十数年、色んな沼に浸かり、揉まれ、時には歓喜し、時には苦い経験をしながら、
約4年前にたどり着いた沼が「ジャニーズ沼」でした。
長年アイドルヲタクをしていた人間として、フェミニストと名乗るくらいにはフェミニズムに感化されてる人間として、
本能的に『「ジャニーズ沼」は(色んな意味で)ヤバい』と危険信号を自身に向けて打ち鳴らしていました。
にも関わらず、堕ちてしまった「ジャニーズ沼」。
今回はフェミニズムとジャニーズ文化の間で葛藤し思考し続けた日々の集大成として、
「男らしさ」と「ジャニーズ」について書いていきたいと思います。(前編)
※注意
・このブログはできる限り正確なソースに基づいて書くように心がけていますが、明確なソースを提示できないものも多く、主にネット上の情報によって構成されています。ご容赦ください。
・ジャニヲタ歴4年の新参者であるため、特に10年以上前のジャニーズについての記述は正確性に欠けるものである場合があります。もし間違いがありましたら、コメントいただけると幸いです。
・筆者本人はジェンダー学の専門家でも、アイドルの専門家でもありません。
1.ジャニヲタになってから感じた違和感
ジャニーズ沼に頭まで浸かりながら、『おや?』『これマズくない??』と思ったことは何度もありました。
他界隈からきた人間なので、単純にジャニーズ文化に慣れてないというのもありますが、
それにしてもこれはダメだろと思った事件は枚挙に暇がないくらいありました。
時系列順ではありませんが、一部列挙していきたいと思います。
(事件の概要をご存知の方は読み飛ばしていただいて大丈夫です)
・舞台「少年たち」の桶ダンス
「桶ダンス」とは、*1舞台「少年たち」で行われる、全員が肌色のボクサーパンツのみの姿で両手に風呂桶を持って踊る演目で、あくまでネット上の情報ですが、2010年に復活した公演では行われていた、ジャニーズの伝統芸(笑)です。
この「桶ダンス」は、成人だけでなく未成年のアイドルも問答無用で出演します。
(私はこの「桶ダンス」が嫌すぎて、推したちの公演を観にいけませんでした)
・水着Jr.
こちらもジャニーズの伝統芸(笑)の一つです。
入所して間もないJr.が、なぜか水着姿になって、ステージ上を水を浴びながら練り歩くという珍行事です。
いつごろから行われていたのかははっきりしませが、2019年8月8日に行われたジャニーズJr.の公演「8.8祭」でもこの水着Jr.が登場しました。
(私の推したちの公演に水着Jr.が登場したら卒倒すると思います)
・ジャニーズJr.のフォトハンガー(通称エロハン)
フォトハンガー(通称エロハン)とは、2019年5月から2020年8月までアイランドストアで販売されていた、上半身裸のJr.たちの写真がプリントされたハンガーです。
「好きなJr.に好きな洋服を着せてあげる」といったコンセプトのグッズらしいのですが、この上半身裸のJr.たち(勿論未成年も含む)がプリントされているということが物議を醸しました。
(この上半身裸のフォトハンガー自体はこれが初めて起用された訳ではなく、2019年以前からデビュー組のグッズとして売られていたようです)
・舞台「滝沢歌舞伎」でのラウール号泣事件
2019年に行われた舞台「滝沢歌舞伎zero」の公演中、Snow Manのラウール氏が舞台袖で号泣しながら舞台に立っていたというエピソードが、Snow ManのYouTubeチャンネル内の動画にて語られました。
(9:36からエピソードがラウール氏の口から語られています)
同グループのメンバーの目黒蓮氏がラウール氏のフォローに回っていたようですが、
当時15歳の少年(ラウール氏)が公演中に号泣してしまうくらいの精神状態なのにも関わらず、公演を中止若しくはラウール氏の降板を何故選択しなかったのでしょうか。
総合演出を担当する滝沢秀明氏や周囲のスタッフの対応に問題があったと私はみています。
・フジテレビ系「ドッキリGP」での菊池風磨全裸ドッキリ事件
2020年1月に放送されたフジテレビ系「ドッキリGP」にて、Sexy Zoneの菊池風磨氏が
「シャワーを浴びた後、スースーするもの(おそらくハッカ油)を塗られた下着を履き、菊池氏が悶絶する」という内容のドッキリを仕掛けられました。
ドッキリを仕掛けられた後、菊池氏が放った「許せない!」というワードは、放送後Twitterでトレンド入りしました。
これに乗じてか、2020年8月に放送された同番組にて「プールで泳いでいた菊池氏の水着が溶ける」という内容のドッキリが仕掛けられました。
(同時にスースーする下着を履かせるドッキリも行われました)
どうみても菊池氏に対する性加害以外の何物でもないのですが、
この一連のドッキリによって、菊池氏の「許せない!」が名言化し、菊池氏の冠番組「菊池風磨の許せないTV」が誕生する、といったTV業界の地獄絵図が世の明るみにでた事件でした。
とにかく、これらの事件を列挙して私が言いたいのは、
ジャニーズ事務所は所属している青少年たち(特に未成年)が安心して芸能活動できる場所ではないということです。
アイドル事務所とは、生の人間を扱うため、最もポリコレ意識が高くなければならない業種の一つです。
にも関わらず、ジャニーズ事務所は、特に未成年への性的搾取について、コンプライアンスがガバガバのガバなんだということがお分かりいただけましたでしょうか。
(未成年への性的搾取については、ジャニーズ事務所だけでなく国内外のアイドル業界全体が抱える問題の1つであると思います)
ここまで読んだ方の中には、
「これが男らしさと何の関係があるんだ」
「なんだ、ただのフェミの小言か」
と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、
権力によって人権を侵害されてきた彼らアイドルたちが、その後どう行動するのか、という点に次はフォーカスしていきたいと思います。
2.被害者が被害者を生む最悪の構図
2022年5月9日、何気なくTwitterのTLを見ていた私にとんでもないツイートが目に飛び込んできました。
それは、
"東京グローブ座で行われたジャニーズJr.の公演「JOHNNYS’ Experience」にて、SexyZoneの菊池風磨氏がプロデュースするミニコーナーが設けられた。
そのコーナー内で、「たたいてかぶってジャンケンポンをして、負けた人のズボンが降ろされ、降ろされた本人が『許せない!』と叫ぶ」といったやり取りが行われた。"
といった内容のツイートでした。
(私は公演自体を観ていませんが、Twitter上で多くの方々がその様子をレポされていたため、おそらく事実であると思います)
私は思わず頭を抱えました。
「ハラスメントの被害者が新たな被害者を生んでいる…最悪の構図だ…」と思いました。
恐らく、菊池風磨氏は自身がハラスメントの被害者であるという自覚もなく、自分がされたこととほぼ同じことを後輩にしてしまったのです。
こんなに悲しいことはありません。
では、権力によるハラスメントの被害者がなぜ被害を再生産してしまうのでしょうか。
それは、
①「相手より優位に立ちたい」という競争意識
②「イジり文化」という*2ホモソーシャル的価値観
がこの日本社会、特に男社会において根付いてしまっているからだと私は思います。
要は、強者によってマウントされた者が、より弱者に対して「イジり」という名のマウントをとることで自身をより優位な立場であるかのようにみせる。この現象が連鎖することで、ハラスメントを許容してしまう社会が出来上がるのです。
何も菊池風磨氏だけがこの連鎖に関わっているわけではありません。
たまたま表にでたものが先程言及した事件だっただけで、私達ファンが見えないところで様々なハラスメントの連鎖がジャニーズ事務所を含めた芸能界、TV業界に起きていると私はみています。
このハラスメントの連鎖の最たる象徴が滝沢秀明氏の存在です。
滝沢秀明氏こそ、これまで様々なハラスメントを受けた被害者であり、そして様々なハラスメントをしてしまった加害者でもあります。
(ソースがTV番組のため、このブログで表示できませんが、
2017年6月14日に放送された日本テレビ系「1周回って知らない話」や2018年12月28日に放送されたTBS系「金スマ」での滝沢氏の話を総合すると)
滝沢氏は15歳の時にTV番組の所謂「寝起きドッキリ」にて、下着姿で寝ている様子を晒されたり、
(しかもドッキリの仕掛け人は布団を剥いで滝沢氏の下着姿を晒している)
17歳の時に教師と生徒の恋愛を描いたドラマに出演し、上半身裸の状態で寝ているシーン(おそらく事後)を撮影されたり、
未成年にしてはいけない性的ハラスメントを受けていました。
一方で、デビュー後、後輩を育てる立場となった滝沢氏は2010年にジャニーズ公式サイト「滝CHANnel」をオープンしました。
このサイトは、当時タブー視されていたジャニーズJr.の動画や画像をネット上で公開することを主旨としたものでした。
(私がジャニヲタになった時には当サイトは閉鎖されていたため、実際の動画を観たことはありませんが、ネット上の情報を総合すると)
滝沢氏は当時のジャニーズJr.(6人時代のSnow Manなど)に対し、かなり苛烈なドッキリをしかけていたようです。
その内容は「コンサートのリハ中、滝沢氏がスタッフやジャニーズJr.の言動にキレて会場を出ていく」といったもので、
ドッキリとわかった瞬間ジャニーズJr.たちが膝から崩れ落ち、号泣していたそうです。
明らかに度が過ぎたドッキリですが、滝沢氏としてはジャニーズJr.を知ってもらうために善意で行ったものだそうで、私は「認知が歪み過ぎて恐怖だ…」と思いました。
前項目で列挙した事件の数々においても、滝沢氏が関わっているものが多く、彼の加害性は最早誰にも否定できないものとなりました。
そんな人物がジャニーズ事務所の副社長になってしまったのですから、ジャニーズ事務所内でのハラスメントの連鎖はとどまるところを知らないでしょう。最早自浄作用は効かず、悪化の一途を辿ると私は予測しています。
ここまで書くと流石に私もかなり薄暗い気持ちになりました。
なぜ私はこんな事務所に金を払い続けているんだろうと悲しくなりました。
しかし、人は希望があるからこそ、沼にハマりつづけてしまうのです。
後編では、「男らしさ」の正体、「男らしさ」と「ジャニーズ」、
そして、私が葛藤した先にみたものについてお話します。
ここまでお読みいただきありがとうございました。ぜひ後編も読んでいただけると幸いです。
*1:1969年の初演以来、上演のたびにアレンジを加えながら進化を遂げ、「少年たち」シリーズとして歴史をつないできた。Kis-My-Ft2、A.B.C-Z、ジャニーズWEST、SixTONES、Snow ManらがかつてジャニーズJr.時代に出演していたことから、この作品は若手の登竜門的存在となっている。 https://www.fujitv-view.jp/article/post-371397/より
*2:同性同士の社会的なつながり。 [補説]近年では、マチスモ(男性優位主義)を前提とした男性同士の連帯感について、否定的に言及されるときに使われることが多い。 ホモソーシャルとは - コトバンクより